人の膝関節は主に大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)および膝蓋骨(お皿の骨)の三つからできています。大腿骨と脛骨の間の関節は内側と外側に分かれます。大腿骨と膝蓋骨の間にも膝蓋大腿関節があり、大きく分けて3つ の関節から成っています。
その3つの関節のうち、内側または外側のみを入れ換えるのが「人工膝単顆置換術 (UKA: Unicompartmental Knee Arthroplasty)」で、内外側共に入れ換えたり、さらに膝蓋大腿関節も入れ換えるのが「人工膝関節全置換術(TKA: Total Knee Arthroplasty)」です。
手術をしてどのくらい長持ちするか(耐用年数)も下に詳しく述べてありますので,ご覧ください。
人工膝単顆置換術(UKA)について
単顆置換術は大腿骨・脛骨の内側のみか、外側のみを入れ換えます。したがって、大きく分けて2つのパーツを膝に入れます。大腿骨の金属、脛骨の金属とポリエ チレンから成ります。全置換術と違うのは、膝の内側か外側部分にのみ置換を行うこと、膝の関節内の靭帯(前・後十字靱帯)は残すことと、膝蓋骨は入れ換えないことなどです。
ここでも様々な皮膚の切り方や、筋肉や関節包の操作があります。骨まで到達したら、ほぼ真っすぐな膝になるように内側か外側の大腿骨と脛骨の骨を削り、靭帯の調整をした後に金属を大腿骨と脛骨にいれます。それから、それら金属の間にポリエチレンを入れます。入れ終わったら、縫い合わせていきます。骨を切り取る量が少ないので手術の傷も小さく、筋肉などに対するダメージも少ないため、患者さんへの負担が少ない手術です。しかし、「全置換術」に比べると単顆置換術で対処できる条件(適応)が厳しく、以下の条件に合う方に適しています。
1 できれば70歳以上の高齢(外側型では65歳以上)
2 O脚やX脚の程度が軽い
3 膝がしっかり伸ばせる
4 膝の内側もしくは外側のみが痛く、お皿の裏や周囲は痛くない
5 肥満でない
6 膝の靱帯がしっかりとしている
7 関節リウマチではない
8 痛風や偽痛風などの結晶沈着性の病気ではない
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人工膝全置換術(TKA)について
全置換術では大腿骨、脛骨を内外側ともに入れ換え、膝蓋骨は入れ換えたり入れ換えなかったりします。したがって、全置換術では大腿骨の金属、脛骨の金属、その間のプラスティック、そして膝蓋骨に入れるプラスティックから成る3ないし4つの部品を膝に入れます。ます。既製のものなので決まったサイズですが、患者さんの膝の大きさに合わせて数種類の大きさのものが用意されています。骨の足りない部分を補ったり、より強い固定を得るためのオプションの部品もあります。靱帯を残し、靭帯の機能で膝の安定性を得るタイプ(CR: cruciate retaining)と、靱帯を取ってしまって部品自体の安定性で膝の安定性を得るタイプ(PS: posterior stabilized)があります。また、2回目以降の手術(再置換術と言います)用の部品自体が少し厚くなった物や、骨の腫瘍で骨や周囲の組織を大きく取った場合に使用するタイプもあります。極めて特殊な場合にはオーダーメイドで造ってもらうこともあります。
これらのパーツを入れるために、現在、様々な皮膚の切り方や、筋肉や関節の袋(関節包)の操作があります。骨まで達したら、実際に入れる金属の形状に合うように大腿骨と脛骨の骨を切り取ります。その際、専用の手術器具を使用し、股関節—膝関節—足関節が一直線になって体重が真っ直ぐに伝わるように下肢の軸調節を行います。膝がぐらぐらになったり、硬すぎないように、そしてスムーズに曲げられるように靭帯の調節を行い、大腿骨と脛骨に金属を入れます。その間にポリエチレンというプラスティックを入れます。金属同士がこすれるのは膝では良くないからです。そして膝蓋骨も傷んでいる患者さんの場合には膝蓋骨を削り、そこにポリエチレンを入れます。入れ終わったら、縫い合わせていきます。術後に膝の中に血が溜まらないように管を1−2日程度入れておきます。
私共はこの一連の操作の中で、膝を曲げても伸ばしても安定した状態になるように靱帯の調整を行うことが最も重要であると考えています。そこで、新たに独自のバランス調整システムを開発・使用し、学会で報告してきました。
TKAの対象になる方はこのホームページであげた他の方法で対応できない全ての方が対象になりますができれば60歳以上の方に行います。
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耐久性について
今から20年前、人工膝関節の耐久性(耐用年数)はおよそ10年が限界で、そのあとに入れ換え(再置換と言います)が必要になるといわれていました。現在は大切に使っていただければ、およそ15年は持つと言われています。ただし、食事にも注意して体重(体脂肪)を 増やさず、筋力訓練を怠らずにご自身の活動性をしっかり維持し、定期的な診察を必ず受けていただく、という条件がつきます。自分が全力で動ける範囲の7割 程度に普段の生活をコントロールしていただければ15年から20年の耐久性は十分に可能であると考えています。人工関節がすり減らないようにと考えて動かないようにするというのは、せっかく手術を受けた意味がないだけでなく、人工関節にとっても良くないことです。衝撃的な力が加わることは避けるべきです が、通常の日常生活で加わるような力を持続的に与えてあげる方が、人工関節周囲の骨に対していい影響を与えるからです。
これまでに金属やプラスティックを骨に固定して長持ちさせるため、世界中の人工関節の専門家たちが研究を行ってきました。関節内のことですから、入れた人工物同士がこすれあう部分が必ずあり、そこで「すり減る(摩耗)」ことは避けられません。この摩耗をできるだけ少なくするための研究が日夜行われています。
人工関節がどれだけもつかは、患者さんの年齢、体重、活動性や骨の質などにも影響されるので、手術を受けられる前に主治医の先生と十分に相談してください。
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